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ジェネリック

事務所で同じフロアにいる技術者さんは薬学部を出た薬剤師さんで、以前は製薬メーカーに勤めていたのだそうで、どきどき薬がらみの興味深い話を聞かせてくれます。

最近テレビや新聞で広告を見かけるようになった「ジェネリック薬品」。 「新薬の特許期間が満了し、有効性と安全性が確かめられたのちに売り出される医薬品」がジェネリック薬品。 言い換えれば「すでに確立された技術、薬効が保証されていて、あらためて試験をしたりする必要がないので、安価に製造することができる薬」。

安全性が確認されていてなおかつ安い、利用者にとってはたいへん結構な話みたいだけど、実はそうとばかりは言えないようです。

特許権の存続期間は出願から20年。 たとえば何かの病気に効く成分を発見し、その抽出方法を特許出願したとしても、それを薬として実用化するためには動物実験や治験など、長い時間がかかります。素人の私が考えたって、副作用の確認などは長期にわたっての観察が必要なのは明白だし、人間に対して安全に使用できることが確認されてからも、ある一定数の(それもかなり多くの)治験が必要だし、実際に市場に出る頃には特許の存続期間が満了しているなどということはザラなのだそうです。 こうして、長い時間をかけて、安全性や有効性を積み上げ、やっと一般の患者さんが利用できるようになったところで、皆が「安いジェネリック薬品」ばかりを選ぶようになったら、そこまでに費やされた開発費は回収できなくなってしまいます。それは次のステップに踏み出すための資金が捻出できないということにもつながるのでは? 「医薬品の将来」の足をひっぱっているとも言えるのでは?

薬代は安いにこしたことはないけれど、ジェネリック薬品の存在自体が、薬代が高くなってしまう原因の一つでもあるのでは?

慢性の病気で薬を常用しなければならない人、医療費が生活を圧迫している人・・・、もちろんジェネリック薬品も必要なんだと思います。 でも、新しい技術、よりよい薬の開発を目指し、研究を重ねている製薬メーカーも、応援していかなければいけないのではと思います。
by otravez | 2007-01-19 23:08

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